同窓生のお店を訪ねて vol.10 三定

同窓生のお店を訪ねて-三定

初代の定吉は三河(今の愛知県)の出身です。三河から来た定吉で、「三定」と屋号を付けました。当時の江戸は火事が多く、復興には人足が大勢必要でした。また参勤交代による独身男性も多く、彼らの食は屋台や飲み屋等で満たされたそうです。天ぷら屋も当時は屋台のみの営業で、江戸湾で取れた小魚を串に差してごま油で揚げる手軽なファストフードでした。定吉は江戸に来てまず、卵の卸を始めました。昔のうちの半纏には「玉」と印が入っています。出入り業者をしている内に天ぷらの技術を会得し、人形町の自宅前に屋台を作って売り始めました。その後3代目の長女が雷門前に店を出してもらい、今の場所になりました。手前共の家訓として、店主は店と住居を共にし、自ら厨房に立ち味を守っていくという事がございます。天ツユは創業よりつぎ足して使っております。代々、三定らしさを守りつつ時代のニーズに合わせた工夫をし、攻守の商いを模索しております。