関口絢子 料理研究家/管理栄養士
(中高58期、家政科36期)
プロフィール
TVや書籍、雑誌、ウェブなどのメディアを中心に活動。エビデンスに基づいた簡単お悩み解消レシピが人気を博す。登録者66万人のYouTubeチャンネル「管理栄養士:関口絢子のウェルネスキッチン」は、 シニア世代に絶大な支持を得て、健康寿命の延伸やウェルネスライフの推進を目指して情報発信を行う。
近著に「少食でもちゃんと栄養がとれる食事術」(アスコム)、「春夏秋冬 疲れ取りごはん」(KADOKAWA)、「管理栄養士が考えた!世界一簡単な長生きレシピ」(宝島社)、その他多数。
日本抗加齢医学会認定 抗加齢指導士、米国栄養カウンセラー、ヘルスケアプランナー

私の活動の原点は、母校で過ごした日々にあります。家政科食物学科で学んだ栄養学や調理の基礎は、単なる知識ではなく、今の私にとって人生を切り拓くための「パスポート」になりました。
「食」という、人間が生きていく上で不可欠であり、日々の喜びでもある分野を専攻したことは、私の人生において大きな収穫でした。
しかし、卒業後の道のりは平坦ではありませんでした。当時目指したCAの夢敗れ、大手家電メーカーに就職するも長くは続かず、家庭に入り子育てをする中で、ずっと足踏みしているような感覚に陥り、自分としての人生を何か切り開いてみたいという思いの中で暗澹とした日々を過ごしました。
そんな時に出会った世界は料理教室でした。仕事自体は身を粉にしてハードワークをこなしましたが、水を得た魚のように仕事が楽しく夢が広がった感覚は忘れません。今まで何1つ長続きせず、取り柄も特技もない生き方だったので、食の世界からは藁にしがみついてでも離れてはいけないと心に誓いました。
そこからはもっと成長したい、専門的な勉強をしたいという思いに駆られ、アメリカのホリスティック栄養学、そしてル・コルドン・ブルー(仏料理学校)での料理の研鑽を積み、科学的なエビデンスに基づく「栄養学」と、料理の様々なテクニックを掛け算するスタイルに辿り着いたのです。
ちなみに、アメリカの栄養学は通信教育で、料理学校は東京で受講しています(笑)
料理家としてより広く活動の場を作りたかった私は、いきなり出版社に企画書を持ち込むなど、今では考えられない型破りな営業活動をし、なんと初の書籍「炊飯器でおいしいレシピ」を主婦の友社から出すことができました。と言っても、本を1冊出したところで何かが変わることはなく、またもや次の手を考えなければなりません。やはり私の特徴や世界観を作らなければ…そこで食とアンチエイジングという領域を見出します。アメリカの栄養学を生かしてインナービューティのスペシャリストとして活動を開始しました。時代の波は食と美容という考えが浸透し始め、徐々に女性誌や企業のウェブで起用され、TVや書籍とメディアでの活動が広がっていきました。カフェやレストランのフードプロデュースや、商品開発、フードコーディネートなど食に関わるあらゆる仕事を経験し、健康志向や野菜をテーマに多角的に活動の場を広げていきました。
そして42歳で管理栄養士を独学で取得し、また次のステージが広がります。肩書きというものは、第一印象と信頼につながる点では役目は大きく、苦労した甲斐あって仕事の幅をさらに広げるチャンスに巡り合いました。
2020年、パンデミックを機に大きな転機が訪れました。YouTubeチャンネル『管理栄養士:関口絢子のウェルネスキッチン』の開設です。 今、人々が求めているのは、着飾った料理ではなく、自宅で自分の体を守るための知恵だと確信し、専門的な知識を家庭のキッチンで再現できる「簡単レシピ」に落とし込んで発信し始めました。「細胞レベルで若返る」「血管を強くする」といったテーマは、多くの共感を呼び、現在、登録者数は66万人を超えました。日々届く「健康診断の数値が良くなった」「料理が楽しくなった」というコメントこそが活動の原動力となっています。YouTubeと並行して、同じく「ウェルネスキッチン」というブランドは、より料理が楽しく体に優しい、毎日使いたくなるをコンセプトに、調味料やお茶、キッチングッズなどを展開しています。
情報が溢れる現代だからこそ、本質を見極める力は、私の活動の確固たる土台となっています。これから社会に出る学生の皆さん、そして同窓生の皆さん、ぜひご自身の「好き」や「得意」を、社会の課題と掛け合わせてみてください。私の場合は、それが「料理」×「栄養学」でした。人生折り返し地点を過ぎ、いつまでも元気に楽しく年齢を重ねる「ウェルネス」な生き方を、私自身が体現していきたいと思っています。

