活躍する同窓生 vol.4 髙橋 美輪さん

LIFEBANK株式会社
代表取締役社長 髙橋 美輪
(高校58期、短大家政36期

川村高等学校(58期生)、短期大学家政科(36期生?)を卒業後、川村学園女子大学 英語英文学科(現:国際英語学科)にて教務補助として14年間勤めておりました。
その後、子供の頃の夢を実現させるためにイタリアへ料理留学、またコンプレックスだった英語を克服するためアメリカへ留学をしたりして30代を過ごし、40歳になる直前に心機一転、医療業界の世界に足を踏み入れました。はじめは一般企業との違いにとまどいながら、気が付いたら10年近く予防医療や最新医療に携わる医師や看護師の方々と働く毎日を送っておりました。そんな中で生殖医療に関わる検査を行っていた際に、比較的若い方でも不妊に悩まれる方をたくさんお見受けし、そういった方の力になれないか、また社会貢献ができないかと考え、同じ思いを共にする仲間や、医師、培養士の方々の協力を得て、2020年7月に卵子のセルフバンクの会社【LIFEBANK株式会社】を設立いたしました。

卵子凍結保管とは、採卵によって採取した未受精卵子を、Vitrification法(ガラス化急速凍結法)により急速凍結し、マイナス196度の液体窒素に満たされた保管庫で凍結卵子を保管することです。私たち女性は加齢に伴い、体内に蓄えられた卵子の数や質は低下するので、その結果、妊娠率は低下、流産率は上昇し、年齢を追うごとに妊娠することが難しくなっていきます。その為、質が低下する前の若い卵子を凍結しておくことで、年齢に左右されることなく将来妊娠する可能性を高めることができるとして、未受精卵子の凍結保管が将来の妊娠に役立つことを期待されております。

未受精卵子の凍結保管は、それまでは医学的な理由によるもののみ認められていましたが、2013年に日本生殖医学会が社会的卵子凍結として指針を発表し、まだパートナーのいない未婚の女性でも将来の妊娠に備えて若いうちに保管することが可能になりました。さらに2023年に女性活躍推進や少子化対策として東京都が卵子凍結関わる費用助成をスタート、それに続き山梨県、大阪府が助成を開始しております。
また、我が社も三井住友海上と協力し、国内初の【凍結卵子専用保険】を2024年4月にニューリリースいたしました。この保険は、いままで卵子の採卵・凍結には概算で約50万円程度費用がかかるのに対し(全額自費診療)、輸送時や融解時に卵子が死滅しても金額は補償されないことが一般的でした。この課題に対して、私共は共同で業界初の凍結卵子専用保険を開発し、より安全に、また安心して卵子保管をしていただけるようサービスの向上を図っております。

未受精卵子の凍結保管は、現在30代以上の女性の利用が圧倒的に多いのですが、卵子が若い20代のうちの方が、統計的に少ない卵子の保管で妊娠率も高くなります。女性の社会進出、また多様性が広まる現代社会において、ご自身が望んだ時に子供を持つことができるひとつの選択肢として、より多くの女性、特に若い女性に未受精卵子の凍結保管を知っていただけるよう今後も啓蒙活動に力を注いていきたいと思っております。