川村くらぶ vol.2 ベストセラーの一冊を読んでみました『赤と青のガウン』

 依田雪絵(59期)

X(旧ツイッター)がきっかけで、たちまちベストセラーとなった『赤と青のガウン』
三笠宮家の彬子女王殿下がオックスフォード大学で過ごした留学生活を綴った話題のエッセイです。その注目度から最近、「徹子の部屋」に出演されていましたので、すでにご存じの方も多いのではないでしょうか。
この本は、彼女の留学中の経験や挑戦を通じて、学問と成長、そして異文化交流の重要性が描かれています。プリンセスの異国の地での自由な日常はどこか「ローマの休日」のアン王女を彷彿させ、興味を引き立てられます。この本の魅力は主に3つあります。

1. 学問と成長の物語

彬子女王殿下は古代ケルト史を専攻し、厳しい学問環境に身を置きながら、研究に打ち込む姿勢が印象的です。特にフォーマル・ディナーでの教授や同級生との交流が学問的な議論を深める場となり、彼女の知見を広げたことが述べられています。博士論文執筆の苦労も描かれ、何不自由ない日本での環境を一時手放し、必死に挑戦を続ける姿が読者に勇気を与えます。​

2. 異文化との出会い

留学生活を通じて、英国と日本の文化の違いに触れるエピソードがいくつも登場します。フォーマルな学習環境や英国文化に馴染みながらも、日本人としての視点を失わず、皇族としての立場にも触れながら生活していく姿が描かれています。エリザベス襄王にお茶に誘われた時のエピソードなどは印象的です。彼女が英国の日常生活や文化に驚きつつも適応していく様子が興味深いです。

3 異国での挑戦と成長

彼女が一人の日本人留学生として異国で奮闘する姿が感動を呼びます。異文化での生活や学問に対する姿勢が丁寧に描かれ、留学経験者やこれから挑戦しようとする人々にとって、勇気を与えるメッセージが込められています​。

全体として、『赤と青のガウン』は、皇室のプリンセスがあえて果敢にもチャレンジ精神で、学問や異文化への挑戦と成長を描いたエッセイで、異国の地での奮闘が力強く描かれた作品です。

オックスフォードは大学時代に英語を学びに行かれた方もいらっしゃるかと思います。自分の思い出とリンクさせて読み進めると、面白さがまた格別です。

赤と青のガウン
「赤と青のガウン」彬子女王
(PHP文庫)